医療費控除の領収書のまとめ方。交通費・タクシー代など

確定申告で提出する医療費控除の領収書◇レシート◇交通費(バス・電車)◇タクシー代◇領収書を紛失した場合――のまとめ方と提出方法について分かりやすく解説していきます。

支払った医療費を証明するには「誰が、どこの病院(医者)で、いつ、いくら支払ったのか」という四つの項目が確認できないといけません。それには領収書の原本が必要になります。バスや電車など領収書をもらえない場合もありますので、以下、具体例を交えながら領収書のまとめ方を見ていきましょう。

レシートの場合

医療費の領収書

医療費控除の対象として認められる風邪薬や下痢止め薬などを薬局やドラッグストアで購入した場合は医療費控除の対象になりますので、レシートがあれば領収書と同じように支払ったことを証明できます。

この場合、レシートに「購入した薬の名前」「何の目的で購入したのか」をボールペンで書いておきます。(例)ペンザブロックS(タケダ製薬)風邪の治療のため/プレコール持続性カプセル(第一三共ヘルスケア)風邪治療…など。

同じレシートに薬以外の商品がある場合は、該当する医薬品の金額に蛍光ペンで印をつけておくと分かりやすいです。こうしておけば、確定申告のときに税務署の担当者から訪ねられたときに説明する手間が省けます。

なおマスク・うがい薬・のど飴・ビタミン剤・栄養ドリンクなどは「治療目的」ではなく「予防」という扱いになるので、レシートや領収書があっても医療費としては認めてもらえません。

領収書がない交通費(バス・電車)の場合

病院や医者にバスや電車など公共交通機関を利用して治療に通った場合は交通費も医療費控除の対象になります。バスや電車は領収書がもらえませんので、その場合は、メモ書きで、「●月●日/自宅~●●病院/電車賃640円」「●月●日/自宅~●●医院/バス代400円」などと書いておきます。

わざわざ文具店や100均で領収書を買ったり、ネットで領収書のテンプレートをダウンロードしなくても大丈夫です。メモ書きでじゅうぶんです。交通費の明細を記録したメモは病院の領収書に添付してまとめておくと医療費控除の申告時に説明するのがラクです。

車(マイカー)で病院や医者に行った場合は、ガソリン代や駐車場の料金は、医療費としては認められませんので領収書があっても却下されます。医療費控除として認められる交通費は、バスや電車などの公共交通機関を利用した場合になります。

タクシー代は領収書があってもダメですか?
タクシー代は原則として医療費控除の対象外です。ただしやむを得ない理由であれぱタクシー代も医療控除として認められます。「骨折してバスや電車に乗って通院するのは困難だった」「出産の退院で、赤ん坊と荷物を抱えてバスや電車に乗るのは難しかった」など。

これらの場合は、タクシー代の領収書にメモ書きで、タクシーを使った理由を書いておきます。領収書がない場合は医療費控除として認めてもらえません。口頭で説明してもダメなので領収書の添付は必須です。

領収書を紛失したりもらえなかった場合

お薬手帳

領収書を紛失したりもえらなかった場合は、治療費として証明できないので、そのままでは医療費控除の明細書に加えることはできません。ですので、領収書を再発行してらう必要があります。

ちなみに健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」は領収書の代わりにはなりません。領収書をなくしたからといって「医療費のお知らせ」を確定申告のときに見せても控除の対象外です。

領収書を再発行してもらえない場合、診察券やお薬手帳、薬の袋、などがあれば、それを確定申告のときに持参して説明をすれぱ、医療費として認めてもらえるケースもあります。家計簿を付けていて、実際に治療を行なったことが証明できれば、家計簿を見せて説明すれば認めてもらえることもあります。

そうしたものが何も残っていないからといって、メモ書きで「●月●日 ◆病院 高血圧治療費と薬代 6,800円」などと書いても医療費としては認めてもらうことはできません。領収書のコピーが残っていて、診察券など治療を証明できるものもある場合は、領収書のコピーでも認めてもらえるともあります。

領収書の宛名は、きちんと氏名が書かれているのが望ましいですが、「上様」でも大丈夫です。その場合は、メモ書きで、上様の横に名前を書いておきます。

医療費控除の領収書のまとめ方

医療費の明細書

領収書は確定申告のときに「医療費の明細書」といっしょに提出または提示します。封筒形式になっている「医療費の明細書」がありますので、税務署でもらうか国税庁のホームページがダウンロードして、その封筒の中に領収書やレシートを入れればOKです。

領収書がたくさんある場合は、分かりやすいように、項目別や家族別にたばねておきましょう。そのほうが確定申告のときに質問されたときに説明しやすいので。前述しましたが、領収書やレシートには必ず「何の薬なのか」「治療目的」などは書いておいてください。

確定申告のあと、領収書を手元に残しておきたい場合は、その旨を申告時に伝えれば、提示するだけで大丈夫です。郵送する場合は、返信用の封筒に切手を貼って自分の郵便番号・住所・氏名を書き、「領収書 返却希望」と書いたメモ書きを添付すれば、後日、郵送で返却してもらえます。

e-tax で医療費控除の申告をすべて行なう場合は、領収書の提出は省略できます。ただし5年間は保管が必要です。領収書の提出が不要だからといって、e-tax で医療費控除を行なったあと、領収書やレシートは捨てないようにしてください。

後日、税務署から疑問点などの問い合わせや確認があったときに、領収書やレシートが必要になるケースもありますので。